第6章 広告会社の課題

6.1 メディアプランニングの課題

 インターネットが普及したことによって消費者のメディア接触行動が変化している。それは,メディアプランニングにも変化が必要であることを意味している。消費者にとってインターネットは欠かせないメディアになっているわけだから,メディアプランにおいてもインターネットは欠かせないはずだ。

 広告会社がインターネット広告を提案するにあたっては,次のふたつのテーマについて明快に言及すべきだ。ひとつのテーマは,なぜインターネット広告を出稿すべきなのかということであり,もうひとつのテーマは,インターネット広告をどのように出稿すべきなのかということだ。重要なテーマは,前者から後者へ移行しつつある。インターネットが大衆のメディアとなったことについては誰もが認知するところであり,広告主もインターネット広告の出稿を経験してきているからだ。インターネットとその他のメディアの組み合わせやその予算配分,効果予測などが求められてこよう。このように広告会社に対するニーズの高度化にともなって,いわゆる総合広告会社の存在価値が高まってきている。複数メディアを組み合わせた総合的なソリューションについては,インターネット広告専門の広告会社では対応しきれない。

 しかし,高度化するニーズに対応するための手法や体制はまだ十分とはいえない。例えば,テレビとインターネットを組み合わせたメディアプランを立案するとする。テレビとインターネットのメディアデータ指標や測定方法が同一であれば問題ないが,両者は異なっている。テレビの視聴率は地区ごとに測定しているのに対して,インターネットのオーディエンス測定データおよび広告掲載レポートは地区ごとに分割できない。また,インターネットのオーディエンス測定データは家庭からの利用しか捕捉できていないうえ,ウェブページの接触は広告の接触を意味しない。テレビの広告出稿量と広告認知率の相関はターゲットや商品カテゴリーごとにデータが蓄積されているが,インターネットにおけるその研究は着手されたばかりだ。これらの複雑な問題を解決して説得力のあるプランニングを行うために,広告会社はデータの蓄積と手法の開発に取り組んでいる。電通が1998年に開発したメディアプランニングシステムのダイアログ(DiaLog)は,テレビ・新聞・雑誌・ラジオ・交通広告を対象としていたが,2002年からはインターネットのシミュレーションもできるようになった。複数メディアを組み合わせるときの適切な予算配分の参考値を,予算やターゲットに合わせて算出できるという。消費者とブランドの接点を,電通はコンタクトポイント,博報堂はタッチポイント,アサツーディ・ケイはEXポイントと呼び,各社は商品カテゴリーや購買意思決定フェーズごとに有効な接点を分析する手法を開発している。それらの分析にもとづき,相乗効果をねらって複数のメディアを組み合わせることをクロスメディアと呼ぶ。一部のメディアを偏重するのではなく,複数のメディアを中立に評価してプランニングしていく姿勢は,メディアニュートラルまたはスルーザラインと呼ばれることもある。

 広告会社において課題を負っているのはメディアプランナーだけではない。広告業務をディレクションする営業や戦略をデザインするプランナーも,インターネットについての正しい知識を習得して,提案のスキルを磨くべきだ。インターネットはマスメディアと比較すると煩雑で収益が低いかもしれない。しかし,マスメディアを販売するスキルだけでは,これからは生き残っていけないだろう。広告主にとってインターネットはますます重要になってきている。インターネットを中核としたキャンペーンデザインの需要も高まるだろう。インターネットの領域において広告主から信頼されることは大きな強みとなるはずだ。ウェブサイトの制作は継続的な更新も含めると手離れの悪いビジネスだが,制作にあたり広告主のさまざまな部門と接触できる。それによって広告主の強みや弱みを深く知ることは,また次の提案につながっていく。

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