第1章 インターネット広告とは

1.1 インターネットとは

 インターネット広告について論じる前に,インターネットについて簡単におさらいしておきたい。インターネットの基礎的な知識は,インターネット広告を理解するうえで欠かせないからだ。インターネット広告の特徴はインターネットの特徴と密接に結び付いており,インターネットの特徴がインターネット広告の特徴を拡張し,かつ制限している。

 インターネットの歴史は,1969年のアメリカにさかのぼる。国防総省(DoD,United States Department of Defense,http://www.dod.gov/)がそれまで一局集中管理していた情報を,多極分散化することになったのが始まりだ。戦争災害時でも機能する安全なシステムを構築するためとされる。そのネットワークはARPAネットと呼ばれ,初期は軍事関係の研究機関やいくつかの大学から構成されていたが,のちに学術研究機関や教育機関,さまざまな大学などを取り込んで拡大しはじめた。それとともに商業目的での利用を求める声が高まり,1989年からインターネットと商用ネットワークの接続がはじまった。日本では1984年からJUNETという大学間ネットワークがつくられ,それがWIDEプロジェクト(http://www.wide.ad.jp/)に発展した。日本で商用サービスが開始されたのは1992年のことだ。

 インターネットのホストコンピューターは急速に増加している。インターネットシステムズコンソーシアム(Internet Systems Consortium,http://www.isc.org/)が実施している「インターネットドメイン調査」(Internet Domain Survey)によると,2010年1月の世界のホストは732,740,444。前年同月からの伸びは17.2%だった。トップレベルドメイン名別では,net(253,853,098),com(142,526,322),jp(52,081,808)と続き,jpの占める割合は7.1%。また,JPドメイン名の登録管理およびドメインネームシステム(DNS)の運用を行う日本レジストリサービス(http://jprs.co.jp/)は,JPドメイン名の登録数を毎月公表している(http://jpinfo.jp/stats/)。JPドメイン名の累計登録数は2008年3月に100万を突破した。企業がブランドごとやキャンペーンごとにドメイン名を取得することは珍しくない。また,総務省(http://www.soumu.go.jp/)が調査した「我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計・試算」によると,インターネットの通信量も増加している。同省の情報通信政策研究所(http://www.soumu.go.jp/iicp/)がまとめた「情報流通インデックス研究会報告書」によると,2001年度から2007年度にかけてインターネットの流通情報量は35.7倍,消費情報量は1.9倍になっている。

 インターネット広告が消費者に到達する可能性について考えるうえでは,ホスト数やドメイン数より利用者数を把握しておきたい。国際電気通信連合(ITU,International Telecommunication Union,http://www.itu.int/)によると,2008年の世界のインターネット利用者は16億102万人。国別に比較すると,もっとも利用者が多いのは中国で,日本はアメリカに次いで3位。IDC(http://www.idc.com/)は,2012年には世界人口の30%,19億人以上がインターネットを利用するようになると予測している。

 日本のインターネット利用者数については複数の統計がある。主要な統計は次の通り。それぞれインターネット利用者の定義や測定方法は異なっている。

 総務省の「情報通信白書」平成21年版(http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/whitepaper/ja/cover/index.htm)によると,2008年末の6才以上のインターネット利用者は9,091万人(前年比3.2%増)。パソコンからの利用者が8,255万人,携帯電話・PHSや携帯情報端末からの利用者が7,506万人,ゲーム機やテレビからの利用者が567万人だった。人口普及率は75.3%(前年比2.3ポイント増)。これらのデータは,総務省が2009年1月に実施した「平成20年通信利用動向調査」(http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/statistics/statistics05a.html)によるもの。なお,同省が定期的に公表している「ブロードバンドサービス等の契約数」によると,2009年6月末におけるブロードバンド契約数は3,093万件。

 インプレスR&D(http://www.impressrd.jp/)がインターネット協会(http://www.iajapan.org/)の監修のもとに発行している「インターネット白書2007」は,2007年3月のインターネット利用者を8,226万6,000人と推計している。インターネットの世帯普及率(携帯電話やPHSを除く)は64.0%となった。ブロードバンド利用世帯はインターネット利用世帯の79.5%,総世帯の50.9%。家庭からのブロードバンド利用者は4,627万人。

 ビデオリサーチインタラクティブ(旧社名はビデオリサーチネットコム,http://www.videoi.co.jp/)が毎年実施している「インターネット普及状況調査」の2004年4月の調査(http://www.videoi.co.jp/release/newsrelease/20040621.html)によると,インターネット(携帯電話を含む)の利用者は5,547万人。自宅での利用者が4,991万人,自宅外(職場・学校)での利用者が2,648万人,その両方での利用者が2,091万人だった。世帯普及率は50.0%。また,同社の「PCインターネット利用世帯における回線調査」によると,パソコンによるインターネット利用世帯に占めるブロードバンド利用世帯は2003年5月に半数を超えて,2004年4月には66.9%となった。なお,携帯電話によるインターネットの利用状況については「ケータイ200X edition(モバイル利用動向調査)」(http://www.videoi.co.jp/service/mobile/)が詳しい。

 ネットレイティングス(http://www.netratings.co.jp/)はインターネット利用動向情報サービスの統計を毎月発表している。それによると,2010年3月に家庭または職場のパソコンでインターネットを利用したのは6,095万2,000人。2007年4月には7億8,994万時間だった家庭からのインターネット総利用時間は,2008年4月には9億2,900時間にまで拡大。同じ期間に総閲覧ページ数は3%減少しているため,1ページあたりの滞在時間が長くなってきているといえる。

 これらのほかにも,ヤフー(http://www.yahoo.co.jp/)が定期的に実施している「インターネット利用者アンケート(旧称はウェッブ・ユーザー・アンケート)」(http://docs.yahoo.co.jp/info/research/)をはじめ,インターネット利用者の属性を調査したものは多い。それらの調査でも,性別や年齢の偏りがなくなりつつあることを確認できる。

 また,インターネットのブロードバンド化は消費者のメディア接触行動を変化させている。ブロードバンド化によってインターネットの利用時間や閲覧ページ数が増加することは,ネットレイティングスやビデオリサーチインタラクティブによって明らかにされている。インターネットの利用時間が長くなれば,その他のメディアに費やされる時間は相対的に短くならざるをえない。ビデオリサーチ(http://www.videor.co.jp/)の「メディア環境調査(MCR)」(http://www.videor.co.jp/service/media/mcr/)や「全国新聞総合調査(J-READ)」(http://www.videor.co.jp/service/newspaper/jread/),NHK放送文化研究所(http://www.nhk.or.jp/bunken/)の「国民生活時間調査」(http://www.nhk.or.jp/bunken/book/book_data/bookdata_06020701.html),情報通信研究機構(http://www.nict.go.jp/)の「インターネットの利用動向に関する実態調査」ではそれが顕著に確認できる。マッキャンエリクソン(http://www.mccann.co.jp/)が2003年5月に実施した「メディア・イン・マインド」調査によると,情報リテラシーの高いひとほどインターネットの利用時間が長く,その一方でテレビの視聴時間が短い。サイバーウィング(http://www.cyberwing.co.jp/)が2002年3月に実施した「主要ISP共同ブロードバンド広告実験」の調査(http://www.cyberwing.co.jp/news11.html)や,NTTアド(http://www.ntt-ad.co.jp/)が2007年10月から11月にかけて実施した「NTTアドデジコム調査」(http://www.ntt-ad.co.jp/news/20080415/20080415_1.pdf)によると,インターネットを利用しながらテレビが視聴されることもあるようだ。

 マスメディアという言葉は,しばしばマス4メディアとも呼ばれるように,テレビ,ラジオ,新聞,雑誌を指すことが多い。しかし,インターネットの利用者数や利用時間はそれらに引けをとらない。ヤフージャパンのページビュー(閲覧ページ数)は,2002年10月に100億ページビュー,2005年10月には300億ページビューを突破した。つまり,インターネット,その中でもポータルと呼ばれる一部のウェブサイトは,もはやマスメディアだ。消費者のライフスタイルや価値観はひとくくりにできなくなり,既存メディアによるこれまでの広告手法には限界が見えてきている。インターネットこそ,既存メディアではとらえられない彼らと接触できるメディアといえよう。なぜ広告メディアとしてインターネットが注目されるのか。そこに消費者がいるからだ。

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