2.5 検索連動型広告

 検索エンジンで検索されたキーワードやフレーズに対応して,検索結果ページに掲載されるテキスト広告のこと。有料リスティングともいう。クリックごとに課金されることから,P4P(Pay for Performance)と呼ばれることもある。特定の情報への欲求が発生する瞬間を的確にとらえられるので,通常のインターネット広告よりも高い効果を期待できる。わずかな予算でも出稿できるうえ費用対効果が明瞭で管理しやすいため,インターネット広告市場の低迷期においても急速に成長した。アメリカでは,2009年には検索連動型広告がインターネット広告費の47%を占めている。

 一般的な検索連動型広告は入札制となっている。広告主は広告を表示させたいキーワードを指定したうえで,その広告がクリックされたときに支払えるクリック単価を入札しておく。複数の広告主が同じキーワードに入札していると,広告は入札価格の高い順に並ぶ。広告の掲載順位については,入札価格以外のクリック率などの要素が考慮されるものもある。クリック単価はキーワードによっては10円未満に抑えられるが,「自動車保険」や「消費者金融」といった人気のあるキーワードは1,000円以上にまで高騰していることもあり,掲載順位をめぐっては1円単位の攻防となっている。

 多くのクリックを獲得するためには,クリック単価を高く入札して広告を他社よりも上位に表示させる必要がある。ただし,ブランドの認知率やイメージが競合よりも優位なら,クリック単価を抑えて広告をあえて最上位に表示させないほうが費用対効果の効率を向上できることがある。また,ビッグワード(広義語)と呼ばれる検索頻度の高いキーワードはクリック単価が上昇しやすいので,検索頻度は低くても成果を期待できるスモールワード(狭義語)を見つけたり,部分一致よりも完全一致を多用したりといった工夫が大切だ。

 検索連動型広告の仕組みは,1997年9月に設立されたゴートゥードットコム(GoTo.com)が発明したもので,同社は複数の特許を取得している。2001年10月にオーバーチュアサービシズ(Overture Services)と改称したゴートゥーは,2003年7月にヤフーに買収された。検索連動型広告はヤフーだけでなく,グーグル(Google,http://www.google.com/)なども展開している。マイクロソフトはオーバーチュアと提携していたが,市場として将来性があるうえオーバーチュアがヤフーに買収されたため,2005年8月から一部の地域で独自に参入している。アスクジーブス(Ask Jeeves,http://www.ask.com/)も2005年8月に参入した。日本では,オーバーチュア(日本法人は2009年10月にヤフーが吸収合併)やグーグル(http://www.google.co.jp/)が2002年からサービスを開始したほか,現在ではライブドアグループのジェイ・リスティング(http://www.jlisting.jp/),NTTコミュニケーションズ(http://www.ntt.com/)やNTTレゾナント(http://www.nttr.co.jp/)が出資しているクロスリスティング(http://www.xlisting.co.jp/)などもサービスを展開している。ヤフーとグーグルの市場占有率が高いため,三井物産(http://www.mitsui.co.jp/)がファインドホワット(現在のミヴァ,Miva,http://www.miva.com/)と提携して立ち上げたリストップ(http://www.listop.jp/)はサービスを終了した。

 検索連動型広告のダイレクトレスポンス効果は,アメリカにおいてIABがコムスコア(comScore,http://www.comscore.com/)とともに解明している。2003年4月から5月にかけて,旅行8社および金融8社の検索連動型広告と純粋な検索結果を比較した。それによると,純粋な検索結果のクリック率が4.3%であるのに対して,検索連動型広告のクリック率はその4倍の18.3%だった。リンク先におけるコンバージョン率を比較すると,検索結果経由のコンバージョン率は0.6%であるのに対して,検索連動型広告経由のコンバージョン率はその2倍の1.4%だった。また,アクアンティブ(2007年8月にマイクロソフトが買収)のアトラス(Atlas,http://www.atlassolutions.com/)は,検索連動型広告の掲載順位による効果の差異を解明している。同社が2004年の5月から6月のデータを分析したところ,広告のインプレッション数とクリック率は掲載順位が下位であるほど低く,掲載順位10位のクリック数は1位のそれの10分の1だった。2004年の7月から8月のデータを分析したところ,掲載順位が下位であるほどコンバージョン率も低かった。しかし,検索回数の少ないワードは,掲載順位が下位でも上位と同等,または上位を上回るコンバージョン率だった。

 検索連動型広告にはブランディング効果もある。ゴートゥードットコムがNPDグループ(NPD Group,http://www.npd.com/)に委託して2000年12月から2001年1月にかけて実施した調査では,検索連動型広告はバナー広告よりもブランドの認知や好意を高める効果があった。ドイツのイープロフェッショナル(eprofessional,http://www.eprofessional.de/)が2002年9月から2003年2月にかけて実施した調査によると,あるオンラインショップの検索連動型広告接触者は非接触者よりもそのショップの利用意向が高かった。2004年にIABとネットレイティングス(NetRatings,http://www.netratings.com/)が実施した調査では,上位に表示される検索連動型広告のブランディング効果は下位に表示されるもののそれよりも顕著だった。あるブランドが検索連動型広告の最上位に表示されると,その広告接触者のブランド純粋想起率は非接触者よりも27%高かった。一方,検索ページ以外に表示される文脈連動型広告については,広告接触者のブランド純粋想起率は非接触者のそれよりも23%高かった。

 検索連動型広告の一部は広告メッセージと検索結果を区別しにくいとして,消費者団体から抗議されることもあった。アメリカ連邦取引委員会(FTC,http://www.ftc.gov/)は2002年6月,検索サービスは閲覧者に対して広告と検索結果の区別を明確に提示すべきとの指針を打ち出している。クリック詐欺と呼ばれる不正クリックや商標の無断使用の問題も抱えている。

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