第2章 インターネット広告の種類

2.1 ウェブサイト

 ウェブサイトを通じた情報発信そのものを広義の広告ととらえることができる。日本ではホームページと呼ばれることが多いが,英語ではウェブサイトやウェブページと呼ぶのが一般的だ。ウェブサイトには時間や空間の制限がないため,無限の情報を提供することができる。運営主体が自ら管理できるため,高い頻度で情報を更新することもできる。かつてはウェブサイトを立ち上げることがニュースとなり,情報化社会の先端企業ととらえられた時期もあった。しかし現在では,中途半端なウェブサイトを開設しているとマイナスのイメージすら与えかねない。ウェブサイトを開設することが目標ではなく,そこでどのようなコミュニケーションをしたいのか,明確な目的を持つことが大切だ。目的がないと目標を立てられず,効果を測定できない。目的と目標を明確にすることは,運営を担当すべき部門や予算,効果検証のための指標を決めることでもある。

 ウェブサイトは世界中からアクセスできるわけだが,そのことは期待通りのトラフィックを保証するわけではない。インターネットはインタラクティブなメディアであり,既存の一方的なマスメディアとは性格が異なる。インターネットでは利用者が主体的に情報にアクセスしようとしなければ,その情報は存在さえ知られることはない。そこでウェブサイトの存在を広く告知する必要がある。ウェブサイトへのトラフィックを増加させる方法は,オンラインメディアを使用する方法とオフラインメディアを使用する方法に大別できる。オンラインメディアを使用する方法のうち,即効性があるのはバナー広告やメール広告といったインターネット広告の出稿だ。SEO(Search Engine Optimization)と呼ばれる,検索エンジンから検索されやすくするためのウェブサイトの工夫も欠かせない。オフラインメディアを使用する方法としては,テレビ広告や新聞広告といったマスメディアまたは交通広告やチラシでアドレスを告知したり,商品パッケージにアドレスを印刷したりすることなどが挙げられる。

 オフラインからウェブサイトへの誘引を図るためには,アドレスを短くてわかりやすいものにすべきだ。日本マクドナルド(http://www.mcdonalds.co.jp/)は「mcdonalds.co.jp」というドメイン名に加えて,「mdj.jp」というドメイン名を利用している。これは携帯電話からでも簡単にアクセスできるように配慮したもの。「m」「d」「j」は,携帯電話の「6」「3」「5」のボタンのひとつめに割り当てられているアルファベットだ。携帯電話から入力しづらいアドレスにアクセスさせるときは,空メールや二次元コードを活用するとよい。空メールは,短いメールアドレスに件名・本文なしのメールを送信させて,それに対する返信としてウェブサイトのアドレスを届ける方法だ。二次元コードは,アドレスデータを収納したQRコードなどを携帯電話のカメラで読み取らせる方法だ。

 これまでマスメディアで告知されるウェブサイトのアドレスは,ブランド名などと比較すると小さく扱われることがほとんどだった。インターネットはあくまでマスメディアの補助に過ぎないとの広告主の意識を象徴していたといえる。しかし,その状況はすっかり変化してきた。「続きはウェブで」「***と検索」といった広告が2005年ごろから流行している。ビデオリサーチが調査したところ,2007年9月のテレビ広告出稿本数のうち43.3%はインターネットに誘導するものだった。特に検索窓や検索語を表示するものが増加していた。この手法は,マスメディアを受動的に視聴または閲覧している消費者の態度を,能動的にスイッチする効果がある。ユニークなキーワードを開発すれば,検索連動型広告で他社と競り合うことを回避できるし,ブログにおけるキーワードの広まりを追跡することもできる。2006年10月に日経BPがマクロミルと実施した「ネット連動型テレビCMへの反応度調査」(http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20071016/137621/)や,電通が2008年10月に実施した「クロスメディア行動調査」(http://www.dentsu.co.jp/news/release/2008/pdf/2008048-0610.pdf)によると,テレビ広告で投げかけられたキーワードで検索したことがあるひとは少なくない。博報堂(http://www.hakuhodo.co.jp/)は,テレビ広告に検索窓を表示すると検索回数が2.4倍になることを2007年に解明している。同年,朝日広告社(http://www.asakonet.co.jp/)はマスメディアの広告が検索に与える影響を係数化した「検索カルテ」を開発している。

 ウェブサイトへのトラフィックを増加させるためには,懸賞をはじめとするインセンティブも有効だ。ただし,販売促進をねらう商品・サービスと懸賞の内容が乖離していると,見込み客を外してしまうことがある。また,懸賞に引かれた見込み客をそのウェブサイトに定着させるためには,応募完了までのプロセスにサービスの試用や個人情報の登録といった仕掛けを用意したり,許諾を得たうえで定期的にリテンションをかけたりすることが肝心だ。

 ウェブサイトが多くの人々を引き付ければ,そのサイトは広告を集稿できるようになる。例えば旅行会社のウェブサイトは,航空会社やホテルといった旅行関連の広告主にとって魅力のある出稿先だ。旅行会社が自社サイトから広告収入を得ることもできるのだ。広告主と媒体社の境界は,既存メディアにおけるそれよりもあいまいになっていく可能性がある。また,ウェブサイトを販売チャネルとして活用する企業も増加するだろう。

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