第3章 インターネット広告の特徴

3.1 インターネット広告の長所

 インターネットはインタラクティブなメディアだ。テレビは3メートルの距離で受動的に見るメディアだが,インターネットは30センチメートルの距離で能動的に使うメディアだ。能動的に目的を持って使うメディアにおいて,余計な広告は注目されにくいという意見もある。しかし,目的を持って使っているからこそ,その目的に適合した広告を露出できれば効果が高いともいえる。インターネット広告は興味を喚起できればクリックされる。リンク先のページは広告主が自由に編集でき,広告では伝えきれない詳細な情報をコミュニケーションできる。

 インターネットがニッチなメディアだったころは,インターネット広告で成果を期待できる広告主も限られていた。ターゲットがオンラインにいなかったからだ。しかし,インターネットが普及したいま,インターネット広告のリーチはマスメディアに引けをとらない。マスメディアが捕捉しきれないターゲットにさえリーチする。インターネット広告に向かない商品カテゴリーはない。例えば,自動車をはじめとする高額商品やパソコンなど理性的な動機で買われる商品カテゴリーは,購買意志決定プロセスにおいてインターネットが重要な役割を果たすため,インターネット広告によるウェブサイトへの誘導が欠かせない。これらの商品はカタログを入手するなどして性能や品質を比較するものだが,インターネットがその機能を代替する。カタログを届けるには広告を見たひとに電話させたり来店させたりする必要があったが,インターネット広告ならばクリックさせるだけだ。また,ファッションや宝飾品など情緒的な動機で買われる商品カテゴリーは高精細なクリエイティブが求められるが,ブロードバンドによって可能になったリッチメディア広告はそのニーズに応えられる。雑誌広告に劣らない豊かな色彩やテレビ広告に劣らない滑らかな動きを表現できるようになってきた。一方,食品や飲料などの低関与型の商品カテゴリーは,インターネットにおけるインタラクションが関与度を高めるきっかけとなる。ウェブサイトで料理のレシピやゲームなどのサービスを提供することにより,ブランドに能動的に向き合うきっかけをつくることができる。

 高度なターゲティングができることもインターネット広告の長所だ。さまざまなウェブサイトが,さまざまなターゲティングのニーズに応える。利用者の属性を判別できる会員制のメディアであれば,その属性に応じたターゲティングもできる。ドメイン別配信技術を使用すれば,ac.jpドメインからアクセスする利用者に対して学生向けの広告を配信することもできる。IPアドレスから利用者の地域を判別して,地域別の広告を配信することもできる。利用者の通信速度に適合した広告を配信することもできる。また,同じ広告に何度も接触させないように,フリークエンシーをコントロールすることもできる。つまり,同じウェブページの同じ広告枠でも,それぞれの利用者にふさわしい広告を配信することができる。さらに,ターゲットがインターネットを利用する時間帯や購買のタイミングに合わせた時間帯別配信もできる。広告をいつ届けるか(リーセンシー)は何回届けるか(フリークエンシー)より重要ともいわれ,インターネット広告のリーセンシー効果は交通広告のそれと同じように注目されている。そして,行動ターゲティングと呼ばれる,ウェブサイトの閲覧や検索といった行動履歴に基づく絞り込みもできるようになった。見込み客以外に広告を配信してしまうことを回避できる。

 また,インターネット広告は広告に対する反応を測定しやすい。例えば,保険会社が資料請求を促すとする。テレビ広告や新聞広告からの資料請求数を測定するには,それぞれの出稿にユニークなコードを振るなどして,資料請求した消費者に対して接触した広告を確認するしかなかった。そのような問いに対して正確に回答できない消費者は少なくないうえ,集計は煩雑なものだった。一方,インターネット広告からの資料請求数を把握するのであれば,サーバーのログを解析するだけだ。広告のインプレッション数とクリック数はもちろん,広告をクリックしたひとの資料請求数や,広告をクリックしなかったひとの資料請求数まで測定する仕組みもある。広告効果を把握しやすいことによって,メディアプランやクリエイティブを機動的に修正できる。キャンペーン前半のパフォーマンスを分析して,キャンペーン後半のクリエイティブを差し替えたり,ウェブサイトを改訂したりできる。

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