第5章 インターネット広告の効果測定

5.1 インターネット広告の効果指標

 アメリカでは,1995年10月にCASIEが「インタラクティブメディアのオーディエンス測定指針」(CASIE Guiding Principles of Interactive Media Audience Measurement)を打ち出したのをはじめ,効果測定の基準づくりが進行してきた。日本においては,1996年2月にビデオリサーチがインターネット効果指標研究会を立ち上げた。現在ではインターネット広告推進協議会やWeb広告研究会が広告効果の研究に取り組んでいる。

 インターネット広告の効果は,広告の露出そのものの効果であるインプレッション効果広告と,クリックすることにより生じるレスポンス効果に分けられる。インプレッション効果は,広告の認知率やイメージ,ブランドの認知率やイメージなどが指標となる。レスポンス効果はトラフィック効果とも呼ばれるもので,クリック数やクリック率などが指標となる。このふたつの効果の存在はインターネット広告の黎明期から知られていたが,レスポンス効果ばかりが注目されてきた。広告に対するレスポンスを測定できることこそ,インターネットのインタラクティブ性の象徴であり,ほかのメディアにない特長だったからだ。広告取引においてもクリック率の高さが重視されてきた。

 しかし,インターネット広告のクリック率は初期よりも低下した。ブランド認知率の向上などクリックを目的としない広告が増えたせいもあるが,そのほかにもいくつか要因は考えられる。もっとも大きな要因は,インターネットの利用頻度や利用時間の拡大にともない,インターネット利用者ひとりあたりの広告が増加したことだ。広告接触機会の増加は,それぞれの広告の注目率を低下させるだろう。またインターネット利用歴が長くなるほど,インターネット広告に新規性を感じにくくなるうえ,クリックを誘うために氾濫したギミックについても学習を重ねるはずだ。

 ただし,広告効果をクリック率だけで判定するのは誤りだ。クリック率が広告効果のすべてだとしたら,クリックできないテレビや新聞の広告は効果がないということになる。広告が意識に働きかける作用に注目しなければならない。また,広告に対するレスポンスをクリック率だけで判定するのも十分ではない。広告を見たときはクリックしなかったもののその後に広告主サイトを訪問するポストインプレッション効果や,広告をクリックした後の広告主サイトにおける行動であるポストクリック効果も考慮すべきだ。ダブルクリックによると,広告をクリックしなかったが30日以内に広告主サイトを訪問するビュースルー率は,リッチメディア広告の増加にともなって上昇傾向にある。2003年第2四半期,ビュースルー率は0.63%にまで上昇して,初めてクリック率を上回った。2004年第3四半期にはクリック率が0.41%だったのに対して,ビュースルー率はその2倍の0.82%となった。

 インターネット広告やウェブサイトの効果測定にあたっては,インプレッション,クリック,ユニークユーザーといった基本用語を理解しておくべきだ。これらの用語については,IABが1997年9月に発表した「測定方法論」(Metrics and Methodology),およびその改訂版としてFASTが1999年3月に発表した「広告測定の基本」(Basic Advertising Measures),FASTとARFが2000年1月に発表した「オンラインメディアオーディエンス測定の原則」(FAST/ARF Principles of Online Media Audience Measurement),IABが2001年10月に発表した「インタラクティブ広告用語集」(IAB Glossary of Interactive Advertising Terms),IABが2002年1月に発表して2004年11月に改訂した「広告キャンペーン測定と公査のガイドライン」(Ad Campaign Measurement and Audit Guidlines)の解説が詳しい。

ア)インプレッション(impression)

 クライアントのブラウザーにコンテンツが表示されたことを測定する指標。広告の表示はアドインプレッション(ad impression),ページの表示はページインプレッション(page impression)と呼ぶ。サーバーのログで測定できるインプレッションはサーバーから配信された回数であり,ブラウザーに表示された回数とは差異が生じていることがある。また,スパイダーやロボットからのリクエストはインプレッションとしてカウントしてはならない。ちなみに,ヒットという概念はページインプレッションとは異なるもので,効果指標としてふさわしくない。ページインプレッションはHTMLファイルの配信回数を指すが,ヒットは画像を含むすべてのファイルの配信回数を指す。なお,アドインプレッションをアドビュー(ad view),ページインプレッションをページビュー(page view)と呼ぶこともある。

イ)クリック(click)

 広告に対する反応としては,クリックスルー(click-through),インユニットクリック(in-unit click),マウスオーバー(mouse-over)があるが,総称してクリックと呼ぶ。クリックスルーとは,広告をクリックすることによって別サイトのコンテンツにジャンプすること。インユニットクリックやマウスオーバーとは,広告をクリックしたり広告の上でマウスを動かしたりすることによって,別サイトにはジャンプすることなく新しいコンテンツが展開すること。一般的にクリック率(click rate)とはインプレッション数に対するクリック数の比率を指すが,ユニークユーザーに対するクリックユーザーの比率を指すこともある。

ウ)ユニークユーザー(unique user)

 重複を省いた利用者数。ユニークオーディエンス(unique audience)やユニークビジター(unique visitor)とも呼ぶ。厳密なユニークユーザーは登録認証かクッキーによって測定すべきであり,IPアドレスのみによる測定は推奨されていない。ただし,クッキーは個人でなくブラウザーごとに発行されるものなので,クッキーで測定されるユニークユーザーはユニークブラウザーと呼ぶほうが適切だ。また,ビジット(visit)はユニークユーザーとは異なる概念だ。ビジットはセッション(session)とも呼ばれ,ウェブサイトの訪問者による一連の視聴行動を指す。訪問者によるファイルのリクエストに30分以上の間隔が空いたときは,別セッションとしてカウントする。

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