5.6 日本で解明された効果

 日本では,インターネット広告の効果については日本広告主協会が積極的に実証実験をしている。同協会のディジタルメディア委員会(Web広告研究会の前身)は,1997年に行った第1次実験の結果を「インターネットバナー広告効果検証実験レポート」で報告している。それによると,バナー広告の面積が通常サイズの2倍になるとクリック率は約1.6倍に,3倍で約2.5倍に,逆に2分の1では約4分の3になった。また,アニメーションを取り入れたバナーは静止バナーの約1.5倍,HTMLバナーは静止バナーの2倍以上のクリック率だった。利用者が絞り込まれた広告枠ほどクリック率が高いことも確認された。

 この第1次実験はクリック率を効果指標としたものだったが,Web広告研究会が1999年に行った第2次実験は広告認知率を主要な効果指標としたものだ。それによって,バナーの認知率は,バナーのフリークエンシー,バナーのサイズ,利用者の細分化と正の相関があることが確認された。しかし,バナーによってはこれらの相関が不明確なものも多く,広告認知率を左右するその他の要因の解明という課題を残すものだった。

 第3次実験は2000年に行われた。バナーのクリック率についてはネットレイティングスのデータが分析された。それによると,デザインがシンプルで情報を整理して短くはっきりとしたバナーはクリック率が高かった。またアンケート調査の結果から,バナーのフリークエンシーと広告認知に正の相関があることが再確認された。

 また,サイバー・コミュニケーションズ,デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム,ダブルクリックは,ビデオリサーチネットコム(現在のビデオリサーチインタラクティブ)とともに,2001年6月から7月にかけて「インターネット・バナー広告の認知効果共同調査」を実施した。バナーのインプレッション数と広告認知率の相関を分析したところ,500万インプレッションで15.1%,2,000万インプレッションでは22.1%となった。属性別に比較すると男性の20才から34才は認知効率が高く,500万インプレッションで17.8%,2,000万インプレッションで26.2%となった。バナーの興味関心度と好意度は,バナー認知者のほうがそれ以外よりも高かった。

 一方,インターネット広告推進協議会は2002年11月から翌年2月にかけて,8つのインターネット広告キャンペーンについて効果測定を実施した。回答者それぞれのバナー広告のフリークエンシーをクッキーによって把握したところ,フリークエンシーが増加するのにしたがって広告認知率が上昇することが立証された。また,バナー広告がブランディングや態度変容に寄与することが確認されるとともに,フローティング広告のブランディング効果がバナー広告をしのぐことが明らかになった。

 リッチメディア広告の効果測定としては,2003年9月から10月にかけてマイクロソフトがデジタル・アドバタイジング・コンソーシアムと実施した調査がユニークだ。オーディエンスをふたつのグループに区分して,大容量バナー接触者グループと通常バナー接触者グループをつくり,それぞれに対してアンケートを行った。動画を取り込んだ大容量バナーの接触者は,通常バナー接触者よりも広告認知やブランド評価が高かった。また,大容量バナーはクリック率だけでなく,コンバージョン率(クリック者に占めるキャンペーン応募率)でも通常バナーを上回った。

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