2.7 その他

ア)XMLフィード広告

 RSSフィードまたはAtomフィードに挿入される広告。一般的にはRSS広告と呼ばれることが多い。RSSフィードやAtomフィードとは,見出し,要約,更新日時などを記述したXMLフォーマットで,ブログの更新情報を配信するためによく使用される。XMLフィード広告には,広告をひとつの記事として配信するスタンドアロン型と,記事に広告を挿入するインライン型がある。XMLフィードの内容に適合した広告を挿入する技術が開発されている。XMLフィード広告の特長は,ブログなどで話題が盛り上がる機会を逃さずにコミュニケーションできることだ。また,XMLフィードリーダーには電子メールのようにスパムが届くことはないため,XMLフィード広告は注目およびクリックされやすい。フィード(Pheedo,http://www.pheedo.com/)が2006年5月に発表した統計によると,XMLフィード広告の平均クリック率はスタンドアロン型で2.76%,インライン型では0.45%だった。

 XMLフィード広告を専門に扱うサービスとしては,海外ではフィードバーナー(FeedBurner,http://www.feedburner.com/)やフィードなどがある。ヤフーなども,文脈解析技術を利用して参入している。日本では,ネットエイジ(http://www.netage.co.jp/)が2005年4月にRSS広告社(http://www.rssad.jp/)を設立した。トランスコスモス(http://www.trans-cosmos.co.jp/)は2005年5月にフィードに出資して,同社のソリューションの日本における独占使用権を取得。2005年9月にはGMOアフィリエイトがフィードバーナーと業務提携して,2006年1月にGMOアドネットワークスとしてフィードバーナー日本版を開始した。しかし,フィードバーナーはグーグルに買収されている。

 XMLフィードを閲覧しているインターネット利用者はまだ少なく,その属性にも偏りがあるため,XMLフィード広告が有効な広告主は限られている。しかし,XMLフィードの普及にともなって注目されていく広告手法だ。マイクロソフトは2006年11月から配布しているブラウザーにXMLフィードリーダーを標準搭載している。

イ)アドウェア広告

 アドウェアはポップアップ広告を露出するソフトウェアだ。フリーウェアにバンドルすることで,利用者に気付かれずにインストールされていることが多い。アドウェアは利用者が閲覧しているコンテンツに合わせてポップアップ広告をかぶせてくる。例えば,あるオンラインショップを訪問した利用者に競合のオンラインショップの広告を立ち上げることができる。検索エンジンで検索されたキーワードに関連した広告を露出することもできる。この広告手法は皮肉を込めてハイジャック広告などと呼ばれたり,アドウェアの最大手であるゲイター(The Gator Corporation)の社名をとってゲイタード(Gatored)と呼ばれたりすることもある。ウェンユー(WhenU,http://www.whenu.com/)やザンゴ(Zango,http://www.zango.com/)もゲイターと同じような仕組みで広告を配信している。これらはワントゥーワンマーケティングやコンテクストマーケティングの成功例として評価されることもあるが,批判も強く訴訟にまで発展している。媒体社や広告主が反発するのは,有料で正規に取引している広告の上に広告がかぶさることだ。わかりやすくいうと,屋外広告の前に他社の看板を立てられたり,店舗の前で他社のチラシを配られたりするようなものだ。またアドウェアによる広告は,媒体社とは異なる第三者が配信していることがわかりにくい。一方で利用者が反発するのは,アドウェアが知らずにインストールされて知らずに起動していること,ポップアップ広告が立ち上がってユーザビリティーを阻害すること,アドウェアをアンインストールしにくいことだ。アメリカでは一部の州においてスパイウェアを規制する法律が成立している。ゲイターはクラリア(Claria Corporation)と社名を変更したあと、2006年にはアドウェアビジネスから撤退している。

ウ)アプリケーション広告

 特定のソフトウェアの利用者に対して配信する広告。利用者は広告を閲覧することによって,そのソフトウェアおよびそれによるサービスを無料で利用できる。

 古い例としては,1996年2月にアメリカで立ち上がり翌年10月から日本にも進出したポイントキャスト(PointCast)が挙げられる。利用者の登録情報にしたがって,株価やニュースなどのコンテンツと広告を専用ソフトで自動配信した。その自動配信技術はプッシュテクノロジーと呼ばれて脚光を浴びたが,ネットワークのトラフィックを増大させるという批判を強く受けたうえ,アナログ回線のダイアルアップで利用するのには向かなかった。同社は1999年5月にアイデアラボ(idealab!,http://www.idealab.com/)に買収されたが,間もなく行き詰まった。そもそもプッシュは,オンデマンドによるアクセスが基本のインターネットにはなじまないものだったのかもしれない。しかし,ブロードバンドがもたらす高速大容量回線の常時接続環境において,プッシュは再び見直されはじめている。

 1999年6月から翌年末まで展開されたハイパーネットのハイパーシステムも,アプリケーション広告として注目された。専用ソフトで1分ごとに異なる広告が露出される代わりに,利用者はインターネットの接続料が無料(または割引)になった。利用者が閲覧しているコンテンツが何であれ,その利用者の属性に合った広告を配信できた。テレビでいえばどのチャンネルに切り替えてもその視聴者向けの広告が露出されるようなものだ。ハイパーシステムの特許はインターキュー(現在のGMOインターネット,http://www.gmo.jp/)に買い取られ,2000年5月からはアメリカの無料プロバイダーであるネットゼロ(NetZero,http://www.netzero.net/)に供与された。

エ) ゲーム内広告

 ゲームの中に挿入される広告。ゲーム内で商品を露出したり,ゲーム内の広告枠に広告を表示したりするのが一般的な手法だ。パソコンの情報処理能力の向上やブロードバンド化によって,オンラインゲームの立体感や迫力は高度になった。それにともなって,ゲーム内広告への注目も高まっている。ゲームは熱中して何度も長い時間が費やされるので,強力な効果が期待できる。

 ゲーム内広告は,2000年代半ばまではハードコーディングと呼ばれる方法で挿入されていた。ハードコーディングとは,ゲームを制作するときに広告メッセージを埋め込んでしまうことだ。この方法は,ゲームと広告をうまく融合させられるという長所があるが,制作期間として長期の準備期間が必要なうえ,埋め込んだ広告を差し替えられないといった短所もある。そこで開発されたのが,ダイナミック広告と呼ばれる方法だ。ゲームを制作するときは広告を埋め込まず,広告を配信できる枠を空けておくのだ。広告はその広告枠に対して,ゲームが再生されるたびに広告配信サーバーから配信される。このダイナミック広告なら,容易に広告を差し替えられるだけなく,利用者の年齢などの登録属性にふさわしい広告を配信したり,フリークエンシーを制限したりできる。また,ゲーム内広告の配信回数は,ゲームの再生回数から推定するのでなく広告配信サーバーのログから正確に測定できる。アドスケープメディア(Adscape Media),エンゲイジインゲームアドバタイジング(Engage In-Game Advertising,http://www.engageadvertising.com/),IGAワールドワイド(IGA Worldwide,http://www.ingameadvertising.com/),マッシブ(Massive,http://www.massiveincorporated.com/),ワイルドタンジェント(WildTangent,http://www.wildtangent.com/)などがサービスを展開している。この市場に注目したマイクロソフトは2006年5月にマッシブを,グーグルは2007年3月にアドスケープメディアを買収している。日本では,ゲーム内広告を専門とする広告会社として,オプト(http://www.opt.ne.jp/)が2006年8月にアドバゲーミング(http://www.ad-gaming.co.jp/)を,サイバーエージェント(http://www.cyberagent.co.jp/)が同年9月にアドプレイン(サイバーエージェントが2008年6月に吸収合併)を設立している。

 ヤンキーグループ(Yankee Group,http://www.yankeegroup.com/)による2007年7月の予測によると,2006年に7,770万ドルだった世界のゲーム内広告費は,2011年には9億7,130万ドルに到達するという。ゲーム内広告の関係者の多くは、さらに強気の予測をしているようだ。

オ)テキスト広告

 画像でなく文字による広告。文字なので動きや色のインパクトに欠けるが,ウェブページのコンテンツと同化してクリックを誘う。制作や入稿が容易という長所もある。グーグルやヤフーだけでなく,アドブライト(AdBrite,http://www.adbrite.com/),コンテクストウェブ(ContextWeb,http://www.contextweb.com/),クリスプアズ(Crisp Ads,http://www.crispads.com/),シーバスト(Seevast,http://www.seevast.com/)などはウェブサイトをネットワークとして束ねて,それぞれのコンテンツと関連性が高いテキスト広告を配信するサービスを展開している。日本では,サイバーエージェントなどが類似サービスを展開している。

 また,バイブラントメディア(Vibrant Media,http://www.vibrantmedia.com/)やコンテラ(Kontera,http://www.kontera.com/)は,コンテンツに含まれているキーワードやフレーズにマウスポインターが重ねられたときにテキスト広告を表示するサービスを展開している。ジャーナリズムを侵害するコマーシャリズムとして否定されることもあるが,画期的な文脈連動型広告として評価されることもある。

カ)バックグラウンド広告

 ウェブページの背景として表示される広告。ウォールペイパー広告とも呼ばれる。バックグラウンド広告にリンクの機能はないため,バナー広告やテキスト広告と組み合わせて使用されることが多い。ウェブページの文字が判読しにくくならないように,広告をコンテンツの余白に位置させたり,広告に淡い色を使用したりする。

キ)編集タイアップ広告

 編集コンテンツの体裁の広告。広告原稿は原則として媒体社が制作する。媒体社はバナー広告や電子メール広告によって,利用者を編集タイアップページへ誘導する。純粋な広告よりも詳細な情報を盛り込めるため,商品・サービスの理解を促進できる。信頼感や親近感といった媒体のイメージを利用したコミュニケーションができる。

ク)ポッドキャスト広告

 ポッドキャストのファイルに挿入される音声や映像による広告。ポッドキャストとは, RSSを通じて音声や映像のファイルを配信することで,アップル(Apple,http://www.apple.com/)のポータブルオーディオプレーヤーである「iPod」(アイポッド)と,放送を意味する「broadcast」(ブロードキャスト)を組み合わせた造語。ポータブルオーディオプレーヤーの普及にともなって注目を集めている。キプトロニック(Kiptronic)を買収したライムライトネットワークス(Limelight Networks,http://www.limelightnetworks.com/),ポッドトラック(Podtrac,http://www.podtrac.com/),ヴォロメディア(VoloMedia,http://www.volomedia.com/)などがサービスを展開している。ヴォロメディア(旧社名はポッドブリッジ)は,タイムシフトされたコンテンツへの広告配信技術について特許を取得している。蓄積された音声や映像が視聴されるときに最新の広告を挿入する技術だ。

ケ)ポップアップ広告

 ウェブサイトにアクセスしたときに,そのウィンドウとは別の新しいウィンドウが立ち上がって露出される広告。このような侵入型の広告は利用者に見ることを強要するため,ブランドの評価を低下させるリスクがともなう。ウィンドウを閉じたときに新しいウィンドウが立ち上がる広告はポップアンダー広告と呼ばれ,ポップアップ広告以上に反感を買いやすい。

 イギリスのバニーフットユニバーサリティー(Bunnyfoot Universality,http://www.bunnyfoot.com/)は,2003年の夏からポップアップ広告の効果を研究している。それによると,ポップアップ広告のうち会社名やロゴまで見られるものはわずか2%だった。ポップアップ広告の50%はローディング中に閉じられ,35%は完全に無視された。会社名やロゴが表示されるまでの時間は平均8.2秒なのに対して,広告が閉じられるまでの時間は平均2.5秒だった。また,ダイナミックロジック(Dynamic Logic,http://www.dynamiclogic.com/)が2003年12月に実施した調査によると,インターネット利用者の半数は1時間に2回までしかコンテンツにかぶさる広告(ポップアップ広告やフローティング広告)を許容しないようだ。

 グーグルやアメリカオンライン(America Online,http://www.aol.com/)などは,ポップアップ広告の不採用や廃止を打ち出している。ポップアップ広告をブロックするソフトウェアも広く普及しつつある。マイクロソフトが2004年9月にリリースしたウィンドウズのアップデートパックは,ポップアップ広告をブロックする機能を標準搭載した。

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